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東芝が初のHD DVDプレーヤーを発売し、次世代DVDの規格争いは本格的に市場で雌雄を決する段階になった。だが25年前の「VHS対β」のように、市場競争に巻き込まれるのはメーカーだけではなく、製品を自ら購入する消費者でもある。
2006年03月31日 21時17分 更新
 「本当にお待たせしました。本日より出荷販売を開始します」──東芝が3月31日にHD DVDプレーヤーを発売し、次世代DVD争いは水面下の競り合いから、市場で雌雄を決する段階に入った。

 アナログビデオの「VHS対β」以来の大型規格争いとなったBlu-ray Disc(BD)との対決。規格統一の可能性が見えたこともあったが、結局、店頭にはそれぞれの規格の製品が並ぶことになった。両陣営は今後、優勝劣敗という市場のルールに直面することになるが、その当事者は消費者でもある。


「ハイビジョンが急速に普及し、次世代DVDへのニーズが高まっている」と話す藤井上席常務=3月31日、都内
 新製品の発表会場となった東京・六本木のホール。会場正面の大型スクリーンには、新製品で再生された映画「ネバーランド」の高精細な動画が映し出された。

 発表会を「お待たせしました」と切り出した東芝デジタルメディアネットワーク社長の藤井美英上席常務は、「40インチ以上のテレビを買った人が今のDVDを買うのか。今から買う人は次世代DVDだろう」と話し、大画面テレビの需要が伸びるにつれてHD DVDも拡大していくと期待する。

 その上で「かなり急速に変わっていくのでは。東芝の事業も変わっていく。極端に言えば、もう赤色(DVD)はいらない」とたたみかけ、「DVDからの急速なシフトを実現させたい」と意気込んだ。

 「2つの規格が市場に併存することは不便だという気持ちは変わっていない」「BDには再考を願いたい」という藤川上席常務。発表会では、今後の規格統一の可能性は“相手=BD次第”でありうるという姿勢をほのめかしつつ、「BDが採用した0.1ミリカバー層の多層化は間違いなく難しい。HD DVDは現行DVDと同じ0.6ミリ。既存技術を使った大容量化を考えてきた」などと意気軒昂にBD批判を続けた。

 新製品は当初は月産2000台でスタート。今後は大々的なマーケティングを展開し、年末には同数万台に増やしたい考え。2006年度の販売は世界全体で「60~70万台」(藤井上席常務)を見込む上、PCには今年第2四半期に搭載され、さらに米Microsoftが家庭用ゲーム機「Xbox 360」向けに外付けHD DVDドライブを発売する計画。今年度だけで「合計100万台」とそろばんをはじく。


「ここまで来た以上」……
 「プレイステーション2」の成功などでDVDの普及が進んでいた2002年2月。ソニーや松下電器産業、オランダのPhilipsら国内外の大手メーカー9社が、波長の短い青色レーザーを採用することで容量を23Gバイトに高めた「次世代大容量光ディスクビデオレコーダー規格」──Blu-ray Disc──を発表した。

 その後、DVDの中核企業だった東芝がNECと組んでBDに参加していないのは明らかに不自然だった。そして東芝はNECと組み、同じ青色レーザーを使った次世代規格「Advanced Optical Disc」(AOD)を発表。後にHD DVDと名前を変え、DVDフォーラムで認められた正当な“嫡流”であることをアピール。ここに次世代DVD戦争が始まった。

 両規格に互換性はない。HD DVD、BDとも技術的な優位点の競争に加え、最重要コンテンツを握るハリウッドの映画会社を自陣営に引き込もうと水面下で激しく争ってきた。

 競争はPC業界も巻き込み、MicrosoftとIntelはHD DVDに賛同し、Apple ComputerはBD陣営につくというおなじみの構図がここでも再現された。BDの搭載を決めたソニー・コンピュータエンタテインメントの「プレイステーション 3」に対し、MicrosoftはXbox 360にHD DVDを採用を決め、ゲーム業界の勢力争いにも波及していった。

 昨年5月、東芝とソニー・松下が規格統一に向けて協議していることが伝わった。一時は合意間近とも見られたが、結局は破談となった。

 舞台裏について、ソニーのハワード・ストリンガー会長が最近、米テレビ番組で「後は握手をして終わりという段階までいった」と話し、統一寸前の土壇場で破談になったことを明かした。BDの仕様を決める期限に間に合わなかった、という。

 東芝の岡村正会長は昨年来、電子機器メーカーの業界団体・電子情報技術産業協会(JEITA)の会長の立場から「規格は統一が望ましい」と語ってきた。だが東芝の新製品発売が迫った今年3月、「ここまで来た以上、業界として統一の方向にはやるべきではないし、やってはいけない」と話していた。

「大きな犠牲を強いる戦いの土壌」
 VHSとβ。25年前、アナログビデオで繰り広げられた規格競争が、今回の次世代DVDでも引き合いに出されてきた。

 HD DVDとBlu-rayは互換性がなく、仮にどちらかの規格が市場の競争で敗れ、βのように製品が販売されなくなる可能性もある。韓国LG Electronicsのように、早くもHD DVDとBDの両方に対応したハイブリッドプレーヤーを計画しているメーカーもあるが、両方に対応する分のコスト高は“保険”として製品価格に跳ね返ってくる。

 次世代DVDには「意外なコスト」がかかるとしたロイターの記事は「統一規格の合意に至らなかったために、各方面で混乱を呼んだVHS対βのような、大きな犠牲を強いる戦いの土壌ができてしまった」と報じた(関連記事参照)。

 HD DVDの出荷が始まったこの日、早速店頭に並んだ都内のある家電店。HD DVDプレーヤーだと分かり、足を止めるサラリーマン風の男性が数人いた。

 初老の男性は、次世代DVD争いについては新聞やテレビで知っているという。「映像は確かにきれいに見えるねえ」とデモ再生を見つめた。だが購入となると「もう1つのほうはこれからでしょ?やっぱり今は様子見だよね」という。「最初に買ったビデオ? βでしたね」
(2006.4.1/IT Media)
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