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IPOを控え、2500台のMacを導入したあおぞら銀行。支店にスタバを置いた新生銀行のように、人気ブランドのハロー効果を受けられるかもしれない。(ロイター)
東京のオフィスビルの16階、社員たちがAppleの白いMacの前に座っている。 この会社はグラフィックスデザイン会社でも出版社でもない――MicrosoftのWindowsを搭載したPCよりもMacを好む会社はかなり少ない。 これはあおぞら銀行の本社の光景だ。同行は、1990年代後半の破綻後に外国投資家に買収された3つの日本の銀行のうちの1つ。 今は米Cerberusが大半の株式を保有するあおぞら銀は、各方面で予測されている株式公開を前に刷新を図り、本店、データセンター、17の支店に2500台のワークステーションを納入するようAppleに注文した。 この注文により、同行は金融業界でAppleの世界最大の顧客となった。 「当行にとって問題だったのは、環境をシンプルにし、1回のジャンプで15年分前進させる方法だ」とあおぞら銀のCTO(最高技術責任者)で元Citibankの技術幹部のビル・チュート氏は語る。 Macの使いやすさ、セキュリティが優れているという評判、UNIXベースの柔軟なプラットフォームがWindowsからの乗り換えの動機になったと同氏は言う。 だがそれと同様に、トレンドセッターであるAppleの威光が、幾らかでもあおぞら銀に乗り移ることをチュート氏は期待している。同行の企業意識は、融通が利かず、破綻した前身の日本債権信用銀行(日債銀)に起源を持つ。 同氏は、日債銀から残った多くの社員を指して、「彼らは破綻と国有化、恥を経験した人たちだ」と語る。「文化をよみがえらせなければならない」 Appleにとって、あおぞら銀は企業顧客獲得に向けたもっと積極的な攻勢への前兆になるかもしれない。アナリストらは、Appleが先週、MacでWindowsを実行するソフトをリリースしたことで、企業顧客の獲得はもっと容易になるだろうと話している。 Appleの上級マーケティングディレクター、ブライアン・クロール氏は、数年前にUNIX標準を採用したことについて、「これは、それまで話したこともなかったまったく新しい顧客を引きつけた」と語る。これはMacとほかのシステムの互換性を高める大きな一歩だった。 「当社は政府機関、科学技術関連の企業、さらにはトラック運送会社とも取引している」(同氏) IPOに向けて あおぞら銀のAppleへの乗り換えは、同行のこれまで以上に広範な立て直しを象徴するものだ――もっとも、同行の再建は常にスムーズにいったわけではない。同行は、日本政府に日債銀の不良債権を買い取り要請できる合意に助けられ、再スタート後に迅速に黒字復帰した。 しかし同行はインフラ再建とリテール顧客勧誘において、同時期に破綻し、外資企業により再建された新生銀行と東京スター銀行に後れを取っている。 「新生銀行は非常に迅速に自社の技術を刷新した。それが同行の成功の大部分を占めた」と金融サービスコンサルティング会社Celentのニール・カトコフ氏は語る。「あおぞら銀はもっとペースが遅い」 新生銀行も東京スター銀行もその後株式公開し、オーナーは思いがけない利益を手にした。その一方であおぞら銀は所有者が安定しない――Cerberusは初め5%の株式を保有し、2003年になってからやっと支配権を得た――ために、今年3月までに株式を公開するという当初の計画は延期された。 銀行家やアナリストは現在、株式公開が年内になると予測している。そしてあおぞら銀の巻き返しは全力で進められている。「そこら中で導入作業が行われている」とチュート氏は言う。 あおぞら銀は、Macを主に「フロントエンド」作業――文書やデータの処理、電子メール、ビデオ会議など――に使う予定だ。サーバの基盤システムはAppleとほかのベンダーから購入したものだが、外貨取引や複雑なリスク査定などの特殊機能は別のプラットフォームで実行される。 イメージ向上効果 今回の乗り換えは、日債銀からの大きな変化となる。日債銀は1990年代前半に財務問題が浮上し、IT投資を停止した。このためあおぞら銀は、時代遅れのメインフレームから相性の悪い寄せ集めのシステムにデータが送られる環境に置かれていた。 またMacへの乗り換えを完了したあおぞら銀の3分の1のオフィスは、日本の銀行につきものの「書類だらけで時代後れ」とはかなり違ったイメージになった。 チュート氏は、システム選択の理由になったのは、Appleのトレンディなイメージよりもむしろ技術的な懸念だったと説明している――顧客が行員のカウンターをのぞき込まなければ、Macが使われていることは分からない――が、Macへの乗り換えは同行の評判を高めるかもしれない。 「特定のブランドには魅力があり、従ってある種のハロー効果がある」と新生銀行にアドバイスを提供する東京のマーケティング会社Beacon Communicationsのアレックス・ロペス社長は語る。新生銀行は、支店にスターバックスの店舗を置くことで同様の効果を達成した。 「Macは『ほかのみんなとは違う』ことを表す。Macは(あおぞら銀を)若々しく見せ、おしゃれに見せ、チャレンジャーなブランドのように見せる」(ロペス氏) (2006.4.11/IT Media) PR |
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